どうも、あっしーです。
助動詞「る・らる」は古文では最頻出助動詞の一つです。
古文では頻繁に出てきますが、意味が複数あり、どう訳していいかわからなかったり、完了の「り」と勘違いしてしまいがちですよね。
そこで本記事では、「る・らる」の基本事項、訳し方、意味の見分け方、文章中で「る・らる」を見落とさないコツなど
助動詞「る・らる」についてのすべてを分かりやすく解説していきます。
これを読んで、助動詞「る・らる」はしっかり対応できるようになりましょう!
目次
「る・らる」の活用表
まずは「る・らる」の基本事項から確認していきます。
上段は談は下二段活用になっていて、下段は上段に「ら」を付けただけです。
この活用表を覚えるというよりは下二段活用表を覚えることをお勧めします。
「る」はラ行の下二段、「らる」は『ら』を付けただけですからね。
「る・らる」の接続
「る・らる」は未然形接続です。
つまり、「る・らる」の前に活用のある語(動詞、形容詞、形容動詞、助動詞)が来たらその活用は必ず未然形になります。
接続とは↓
「る・らる」の訳し方
1、受け身「~れる」「~られる」
尊敬と並びよく使われる用法です。
他人から動作を受ける、受け身を表します。
物に襲はるる心地して、おどろき給へれば、
訳:もののけに襲われるような気がして、目をお覚ましになると、
2、尊敬「~なさる」「~れる」
一番よく使われる用法です。
尊敬の意味を加えます。
こころよく数献に及びて、興に入られ侍りき
訳:気持ちよく数杯を飲んで、いい気分になられました。
3、自発「自然に~れる」
たまに使われますが決まった語の後ろにしか使われません。
現代ではあまりなじみのない用法ですので、あまり深く考えず訳せるようにしておけば大丈夫です。
いにしえのことも立ち返り恋しう思ひ出でらるる
訳:昔のことも立ち返って、自然に思い出される。
4、可能「~できる」
現代では頻繁に使いますが、古文ではあまり使われない用法です。
訳:私は口を閉じて、眠ろうとしたが、寝ることができない。
「る・らる」の意味の見分けかた
「る・らる」で重要なのは、まず「る・らる」が使われていることを見抜くこと、次に4つある意味のどれで訳すのかということです。
これは意味の見分け方を知っていれば
簡単に見分けることができます。
1、受け身
受け身の場合は「る・らる」が使われる少し前に「○○に」という文章があることがほとんどです。
「○○」の部分は受け身の相手が入ります。
現代でも
「先生に叱られる」
「父に褒められる」
のように受け身を使うときは「誰に」の部分を欠かさないですよね。
古文でも同じで「○○に~る(らる)」と来たら受け身になります。
物に襲はるる心地して、おどろき給へれば、
訳:もののけに襲われるような気がして、目をお覚ましになると、
2、尊敬
尊敬の意味で「る・らる」が使われる場合、その文章の主語が必ず身分の高い人になります。
古代中世日本では縦社会が厳しいですから、身分の低い人に尊敬が使われることはまずありません。
ですので、主語を意識して読むと尊敬の「る・らる」を見分けることができます。
主語を意識しながら読むことは古文上達の最大の鍵ですので「主語把握」はできるようになっておくことを強くおすすめします。
主語把握の記事はこちら↓
また、「仰す」や「思し召す」など、尊敬語の後ろに「る・らる」が使われていると尊敬の意味になります。
尊敬語が使われている文の主語は身分の高い人だからです。
謙譲語が使われている文章の主語は逆に身分の低い人なので注意
敬語と主語の関係はこちら↓
「仰せらる」「思し召さる」など「尊敬語+る(らる)」の語順で使われる「る・らる」は尊敬の意味になりますが
「れ給ふ」「られ給ふ」のように「る(らる)+尊敬語」の語順で「る・らる」が使われたると、いかなる場合でも「る・らる」が尊敬の意味になることはありません。
尊敬以外の意味で訳すことになります。
これは「る・らる」が尊敬を表す語としては他の尊敬語より敬意が薄いからです。
3、自発
自発はたまに使われる用法ですが、決まった動詞の後ろにしか使われないのでここで覚えてしまいましょう!
決まった動詞とは「思ふ」の変化形、「驚く」「知る」「泣く」などです。
「思ふ」の変化形とは「おぼす」「思いやる」「思い嘆く」など「思ふ」に名残のある語です。
ここにあげた動詞の後ろに「る・らる」が来たら自発で訳しましょう。
いにしえのことも立ち返り恋しう思ひ出でらるる
訳:昔のことも立ち返って、自然に思い出される。
4、可能
可能は打消し・反語の意味の語を伴うことが多いです。
つまり「~できない」として使われることが多いです。
よは口を閉じて眠らんとして寝ねられず
訳:私は口を閉じて、眠ろうとしたが、寝ることができない。
「る・らる」の見つけ方
「る・らる」で注意が必要なのはそもそも「る・らる」に気づくことです。
文章中に「る・らる」が使われていても案外見落としてしまったり、他の「る」を勘違いで訳してしまったりしがちなのです。
「る・らる」をに気づく簡単な方法は
「〈a〉音+ら、り、る、れ、ろ」です。
「〈a〉音」というのは「あ、か、さ、た、な」などです。
この「〈a〉音+ら、り、る、れ、ろ」を発見したら「助動詞の「る・らる」かも!」と思ってください。
よく間違えてしまうのが完了の「り」です。
こちらは「〈e〉音+ら、り、る、れ、ろ」と覚えておきましょう。
完了の「り」の記事はこちら↓
では練習してみましょう!
練習問題
①道知れる人もなくて惑ひ行きけり
②舎人が寝たる足を狐に食はる
③おどろき給へれば、
④「ただ今」とおほせらるれば、
⑤折節が移り変はる
回答は②と④になります。
①の「知れる」は「re+る」ですので完了の「り」の連体形「る」になります。
②の「食はる」は「ha+る」ですので受け身の「る」です。
③の「給へれ」は「he+れ」ですので完了の「り」の已然形「れ」です。
④の「おほせらるれ」は「らる」が「〈a〉音+る」ですので尊敬の「らる」と分かります。
⑤の「変はる」は一見「〈a〉音+る」ですがよく考えれば「変はる」で一単語であることが分かるかと思います。
訳:①道を知っている人がいなくて迷いながら行った。
②舎人が寝ている足を狐に食われる。
③目をお覚ましになると、
④「ただ今」とおっしゃられると、
⑤季節が移り変わっていく。
あとがき
さて、お疲れ様です。
今回は重要助動詞「る・らる」についてまとめました。
「る・らる」で重要なのは
・受け身、尊敬、自発、可能の4つのどれで訳すのか
・文章中に「る・らる」に気づくこと(完了の「り」との識別)
この2つでした。
この記事ですべてを網羅していますので、しっかり復習して身に着けてくださいね!
確実に身に着けるには実際に古文を読んでみる、識別してみるのが一番です。
記憶が新しいうちにやってみてくださいね。
「明日やろうは馬鹿やろう」ですよ!
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