どうもあっしーです。
古文で「なり」と言う単語が現れたときによく問われるのが「なり」の識別です。
「なり」には
- 断定の助動詞「なり」
- 伝聞推定の助動詞「なり」
- 動詞の「なり」
- 「ナリ」活用形容動詞
の4つがあり。
これらの「なり」を見分けなさいという問題がよく出ます。
この記事では4つの「なり」の見分け方を1つずつ分かりやすく解説していきます。
目次
断定?伝聞推定?助動詞「なり」の見分け方
よく問われるのは断定と伝聞推定の助動詞「なり」の識別です。
おさらい
断定と伝聞推定の助動詞「なり」の識別は意外とたくさんのヒントがあります。
1つずつ分かりやすく解説していきます!
見分け方① 接続で見分けろ!
断定の助動詞「なり」は連体形接続、推定の助動詞「なり」は終止形接続であることを利用して見分けましょう。
接続とは
助動詞「なり」の前の語に注目してください。
用言の連体形または体言ついている「なり」は断定
用言の終止形についている「なり」は伝聞推定の「なり」です。
名詞と代名詞を合わせて体言と言います。
名詞=体言と考えて大丈夫です。
この文には2つの「なり」が入っています。
1つ目の「すなる」これは「す」が終止形ですからこの「なる」は伝聞推定になります。
2つ目の「するなり」これは「する」が連体形ですのでこの「なり」は断定と分かります。
訳:男性がするとかいう日記というものを、女の私もしてみようとするのである。
見分け方② 係り結びは伝聞推定
係り結びの結びとなっている「なり」はほとんどが伝聞推定になります。
鴨ぞ鳴くなる山かげにして
訳:鴨が鳴いているようだ、山かげで。
見分け方③ 音、声に注目
音や声、伝え聞く話などに関わる文脈では伝聞推定が多い。
秋の野に人まつ虫の声すなり
訳:秋の野原に人を待っているという松虫の声がするようだ。
笛をいとをかしく吹き澄まして、過ぎぬなり
訳:笛をとても趣深く吹き澄まして、通り過ぎていったようだ。
見分け方④ 1人称は断定!
自分の動作に「~らしい」なんて使いませんよね。
「僕はもう朝ご飯を食べたらしい」
いや、ぼけ老人か~い!
つまり1人称主語の文に使われる「なり」は断定です。
われ、いくなり
訳:私は行くのだ!
見分け方⑤ 音便で見分けろ!
伝聞推定の「なり」は前にラ変活用の語が来るとそれを撥音便化してしまうという特性があります。
よって「あんなり」「なんなり」「ざんなり」「あなり」「ななり」「ざなり」の「なり」は伝聞推定の「なり」だと分かります。
詳しくはこちら
・連体形・体言接続→断定
・主語が1人称 →断定
・終止形接続 →伝聞推定
・係り結び →伝聞推定
・音や声がある→伝聞推定
・撥音便 →伝聞推定
動詞の「なり」の見分け方
現代でも使う動詞の「なり」は連用形が「なり」になります。
この識別は簡単です。
「に、と、く、ず」+「なり」
は動詞の「なり」と覚えてください。
天皇になる
夫となる
赤くなるは今でも言いますよね。
古文でも同じです。
「~ずなる」は今は使いませんが「ず」は打消しの助動詞で「~しなくなる」という感じです。
山路になりて
訳:山道になって、
ナリ活用形容動詞の見分け方
ナリ活用形容動詞は「清げなり」のように活用語尾が「なり」になります。
ナリ活用形容動詞の見分け方①
形容動詞の見分け方は「いと(とても)」をつけて読んでみることです。
例を見てみましょう。
どちらが形容動詞でしょう?
① あはれなり
② 男なり
1番に「いと」をつけて読んでみましょう。
いとあはれなり
訳:とてもしみじみとした趣を感じる。
意味が通りますよね。
意味が通っていたらナリ活用形容動詞です。
2番はどうでしょう。
いと男なり
訳:とても男だ。
とても男だ??
意味が通っていませんね。
つまり「男なり」は形容動詞ではなく、「男」という名詞+断定の「なり」です。
「男である」と言う意味ですね。
ナリ活用形容動詞の見分け方②
もう1つナリ活用形容動詞の見分け方として結構使える豆知識があります。
「やか、らか、げ」+なり
は形容動詞にとても多い形というものです。
あざやかなり、細やかなり
明らかなり、安らかなり
をかしげなり、清げなり
「やか、らか、げ」+なり
と来たら形容動詞と覚えておきましょう!
・「いと(とても)」を付ける
・「やか、らか、げ」+なり
練習問題
まとめ
今回は「なり」の見分け方について解説しました。
「なり」を見分けなさいという問題はほんとによく出ます。
しっかりと復習して必ず解けるようにしてください!
大変参考になる記事、ありがとうございます。さて、係り結び の 場合には、伝聞推定の なり、 と記載されていますが、その根拠のようなものを教えて頂けるでしょうか? 他のサイトや、参考書などにも、あまり記載されていない事項ですが、 たしか、古文の望月先生がそんなことを仰っていたような気もします。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます!
ご質問の箇所ですが、こちらは三省堂出版 全訳読解古語辞典第四版 p894 「なり」の項目を参考しています。
今後ともよろしくお願いします。
質問して早々に、お返事ありがとうございます。古語辞典に明記されているのですね、、、。よく分かりました。 その割には、この点については、ほとんど他のサイトや書籍には記載されていないようですね、、。望月光先生が、どこかでこの見分け方についてコメントしておられた という程度かもしれないです。なかなか注目されないようですが、重要なポイントのようにも思います。また自分自身でももう少し勉強を重ねて何か新しいことが分かりました、個々にも書き込ませて頂きます。ありがとうございました。