断定の助動詞「なり」「に」の識別、訳し方すべてまとめてみた【例文解説付き】

「なり」は似ている語がとても多いです。

まるでどこかの五つ子のごとく…

なのでひっかけ問題が作りやすいんですね。
その識別がほんとによく問題に出ます。

この記事では断定の「なり」の基本事項と「なり」の識別、「に」の識別方法を

すべてまとめ、根絶丁寧に説明しました。

この記事で断定の「なり」を全攻略していきましょう!

 

「なり」の識別はこちら

「に」の識別はこちら

 

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断定「なり」の活用表

まずは断定「なり」の基本事項から確認していきます

上段はラ行変格活用になっているので「ら、り、り、る、れ、れ」と覚えましょう。

重要なのは連用形の「に」です!これを忘れないようにしましょう!

断定「なり」の接続

断定の「なり」は連体形接続です。

つまり、断定「なり」の直前に活用のある語(動詞、形容詞、形容動詞、助動詞)が来たらその活用は必ず連体形になります。

体言(名詞)、副詞、助詞に付くこともあります。

これもかなり重要ですよ~

体言と名詞の違い

名詞と代名詞を合わせて体言と言います。

名詞=体言と考えてしまっても問題ありません。

断定「なり」の意味、訳し方

①断定「~である」

断定の「なり」はほとんどがこの意味になります。

~である!~だ!と断定を訳出すればOKです。

例文
行きかう年もまた旅人なり

訳:行きかう年もまた旅人である

 

②存在「~にいる」「~にある」

「なり」の直前に場所を表す体言が来るとこの意味になります。

人が主語なら「~にいる」物が主語なら「~にある」と訳しましょう。

例文
なる御薬奉れ

訳:壺にあるお薬を召し上がれ。

補足

場所を表す体言とは?

単純に地名や方角がそうです。

あと御前(貴人の前)なんかもそうです。

 

「に」の識別

さて、断定の「なり」で重要なのがここになります。

先ほども言いましたが連用形の「に」これが厄介であり、よく問題に出るところです。

助詞の「に」や完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」など「に」を区別しなければいけないからです。

「に」がたくさんあるから問題が作りやすいんです。

しかし断定の連用形「に」はたったの2パターンしかありません!

ここでチャチャっと覚えちゃいましょう!

こいつはチャチャ

パターン①

「に」の真下もしくは2,3語下に
「あり」「はべり」「おはす」が来て、
かつ「に」自体が「で」と訳せるとき。

補足

「はべり」は「あり」の丁寧語

「おはす」は「あり」の尊敬語

例文
その人は、わが兄やあらむ

訳:その人は、私の兄あるだろうか。

に+助詞+あり このパターンの「に」ほぼ断定です。

にやあらむ、にこそあらめ、はよく見られます。

パターン②

て」「して」の形で使われ、
かつ「であって」と訳せるとき。

例文
その人はわが兄て、おやぶんと言う者なり

訳:その人は私の兄あって、おやぶんと言う者である。

 

断定の「なり」の連用形「に」が現れるのはこの2パターだけです。

しっかり覚えましょう!

 

古文には「に」がたくさんありますので訳し間違いのないように注意しましょう。

その他の「に」の識別はこちら↓

「に」の識別 パターンは全部で6つ!すべてまとめてみた【練習問題あり】

2020年3月8日

「なり」の識別

「なり」も様々な「なり」があります。

断定の「なり」、伝聞推定の「なり」、形容動詞きよげ「なり」、動詞の「なる」の連用形も「なり」です。

これらの識別問題も入試ではよく出題されます。

ですが、やり方さえ覚えれば簡単です!

4つの「なり」全パターンの見分け方はこちら↓

「なり」の識別 パターンは全部で4つ!解き方を丁寧に解説

2020年4月13日

 

ここでは伝聞推定と断定の助動詞「なり」の見分け方に絞って解説します。

断定と伝聞推定の違い

伝聞推定の「なり」の活用表を見てください。

なんと断定の「なり」とほぼ一緒です。

なのでたまに出てくる伝聞推定で間違えてしまうんですよね。

 

断定と伝聞推定の違いは接続!

接続
断定の「なり」→連体形、体言

伝聞推定の「なり」→終止形

ですので「なり」の一個前の語を見て判断しましょう!

連体形、体言(名詞)に付くのは絶対断定

終止形に付くのは絶対伝聞推定です。

練習問題
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり

この文には2つの「なり」が入っています。

断定か伝聞推定か考えてみましょう。

 

 

 

答え

1つ目の「すなる」これは「す」が終止形ですからこの「なる」は伝聞推定になります。

2つ目の「するなり」これは「する」が連体形ですのでこの「なり」は断定と分かります。

 

訳:男性がするとかいう日記というものを、女の私もしてみようとするのである

オマケ

オマケと言いつつかなり使えるテクニックを

オマケ①

係り結びの結びとなっている「なり」はほとんどが伝聞推定になります。

例文
鳴くなる

犬が鳴いているようだ。

オマケ②

音声や伝え聞く話などに関わる文脈では伝聞推定が多い。

例文
秋の野に人待つ虫のなり

訳:秋の野に松虫の声がするようだ。

オマケ③

自分の動作に「~ようだ」なんて使いませんよね。

「僕はもう朝ご飯を食べたようだ」

いや、ボケ老人か~い!

つまり1人称主語の文に使われる「なり」は伝聞推定ではなく断定です。

例文
われ、行くなり

私は行くのだ。

オマケ④

伝聞推定の「なり」は前にラ変活用の語が来るとそれを撥音便化してしまうことがあるという特性があります。

よって「あんなり」「なんなり」「ざんなり」「あなり」「ななり」「ざなり」の「なり」は伝聞推定の「なり」だと分かります。

詳しくはこちら↓

【古文】音便とは?4つの音便をすべてまとめてみた!読解に役立つ音便の見方とは?

2020年4月9日

 

 

助動詞「なり」の識別まとめ

・連体形・体言接続→断定

・主語が1人称  →断定

 

・終止形接続 →伝聞推定

・係り結び  →伝聞推定

・音や声がある→伝聞推定

・撥音便   →伝聞推定

 

その他の「なり」の識別はこちらにまとめています!

「なり」の識別 パターンは全部で4つ!解き方を丁寧に解説

2020年4月13日

まとめ

さて、お疲れ様です。

今回は断定の助動詞「なり」についてまとめました。

「なり」は文中よく出てきますし、よく問題にもなります。

特に識別が重要でした。

「に」の識別、「なり」の識別わかっていただけたでしょうか。

ここで得た知識を使って早速教科書の文で識別練習してみてください。

古文は実際に読んでみる、識別してみるのが一番です。

記憶が新しいうちにやってみてくださいね。

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