【古文文法】動詞の活用 全9種類の覚え方、見分け方まとめ

どうも、あっしーです。

この記事では、古文文法の基礎中の基礎「動詞の活用」について解説します。

活用とは何か、全動詞の9つの活用表、絶対に間違えない見分け方、紛らわしい注意すべき動詞など古文の動詞についてはすべてをまとめました。

また、記事内の動詞の活用表はすべて長押しでスマホに保存できます。学習に利用してください。

 

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動詞の活用とは

ここは中学の国語でも習う所なのでさらっと行きますね。

動詞の活用とは「動詞が使われる場所によって変化すること」です。

 

例えば「書く」という動詞があります。

ところが「絵を書かない」や「絵が書けたらいい」など文章で使われると「書く」という動詞が「書か」「書け」のように変化してしまいます。

 

このように動詞は使われる場所によって形を変えるのです。

これを動詞の活用と言います。

 

活用の形は未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形の6つがあります。

 

活用形は基本的に動詞の後ろの語によって決まります。

ざっくり言うと後ろの語が動詞だったら連用形、名詞だったら連体形、後ろに何も続かず文が終わっていたら終止形になります。

 

助動詞や助詞が続いていたらその助動詞、助詞の接続によって決まります。

接続について詳しくはこちら

助動詞・助詞の接続とは?接続の覚え方は?接続を使った読解法も紹介!

2020年3月22日

 

このように基本的には動詞の後ろの語によって決まりますが、例外として「係り結び」というルールがあります。

係り結びについて詳しくはこちら

係り結びとは?意味、省略された時の読み方を丁寧に解説!

2020年5月2日

動詞の活用の種類

動詞は変化すると言いましたが、しっちゃかめっちゃかに変化するのではなく、たったの9つの型に分類することができます。

サ行変格活用、カ行変格活用、ラ行変格活用、ナ行変格活用、上一段活用、下一段活用、四段活用、上二段活用、下二段活用の9個です。

 

動詞は必ずこの9個のどれかに分類され、それぞれ同じ変化の仕方をするようになっています。

入試では、「この動詞は何活用?何形?」と聞いてきます。

ですので皆さんはすべての動詞をこの9つの型のどれか分類する必要があるわけです。

動詞の活用の見分け方には暗記するものと、その場で見分けるものがあります。

サ行変格活用、カ行変格活用、ラ行変格活用、ナ行変格活用、上一段活用、下一段活用は語の数が少なく暗記するもの

 

四段活用、上二段活用、下二段活用は語の数が多く、その場で見分けるものになります。

 

それぞれの動詞と活用の仕方を見ていきましょう。

サ行変格活用」「カ行変格活用」「ラ行変格活用」「ナ行変格活用」「上一段活用」「下一段活用」「四段活用」「上二段活用」「下二段活用

サ行変格活用

サ行変格活用の動詞は「す」「おはす」の2語だけです。

サ行変格活用の活用表

例文

未然形
徳と

訳:美徳としない。

連用形
たるぞよき

訳:しているのが良い。

終止形
争わざるを徳と

訳:争わないことを美徳とする。

連体形
花橘の香する

訳:橘の花の香りがする袖。

已然形
すれば、

訳:旅をすると、

命令形
世渡るたづきともせよ

訳:生活の手段としろ。

 

「す」の複合語

「す」は漢字+「す(ず)」の形で複合語を形成することがあります。

例えば、「感ず」「念ず」「欲す」「旅す」はすべてサ行変格活用です。

 

漢字+「す(ず)」は基本的にサ行変格活用を疑ってください。

 

ただ、「混ず」だけは下二段活用ですので注意してください。テストでもよく聞かれます。

カ行変格活用

カ行変格活用の動詞は「来」の1語だけです。

カ行変格活用の活用表

例文

未然形
ずと言へり

訳:「来ない」といった

連用形
かの唐土船けり

訳:例の唐国の船が来た。

終止形
雲居に参り

訳: 宮中に参上して来る。

連体形
出でくるときを待ちて

訳:出て来る時を待って

已然形
くれば、

訳:春が来たので、

命令形
春よ、

訳:春よ来い。

ラ行変格活用

ラ行変格活用の動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」の4語だけです。

「あり、をり、はべり、いまそかり」はリズムがいいのですぐ覚えられるかと思います

ラ行変格活用の活用表

例文

未然形
皆人あら

訳:誰もいない。

連用形
昔、男ありけり

訳:昔、男がいた。

終止形
月の都の人にて父母あり

訳:月の都の人で父母がいる。

連体形
世にある習ひ

訳:世の中にある習慣。

已然形
西の空に雲あれど、

訳: 西の空に雲があるけれど、

命令形
いづくにもあれ

訳:どこであってもよい。

ナ行変格活用

ナ行変格活用の動詞は「死ぬ」「往ぬ(去ぬ)(いぬ)」の2語だけです。

ナ行変格活用の活用表

例文

未然形
老いず死なずの薬

訳:不老不死の薬

連用形
朝に死に、夕べに生まるる習い

訳:朝に死に、夕方に生まれるという世の定め。

終止形
炎にまぐれてたちまちに死ぬ

訳:炎に気をを失ってあっという間に死ぬ。

連体形
生まれ死ぬる

訳:生まれたり死んだりする人

已然形
またかく死ぬれば、

訳:またこのように死ぬのだから、

命令形
水におぼれて死なば死ね

訳:水におぼれて死ぬのならば死んでしまえ。

上一段活用

上一段活用の動詞は少し多いです。6つあります。

「着る」「見る」「似る(煮る)」「射る(いる)」「居る、率る(ゐる)」「干る(ひる)」

頭文字をとって「きみにいゐひ(君にいい日)」と覚えるといいです。

上一段活用の活用表

このように「あいうえお」のうち上のイ段のみを使うので上一段活用と言います。

例文

未然形
暁をず死にけり

訳:夜明けを見ることなく死んだ。

連用形
これをて、親どもも、「何事ぞ」と問ひ騒ぐ

訳:これを見て、親たちも「何事か」とうるさく問う。

終止形
春は藤波を見る

訳:春は波のように揺れる藤の花を見る。

連体形
あとまで見る人ありとは、

訳:(客の帰った)後まで見る人がいるとは、

已然形
それを見れば、

訳:それを見ると、

命令形
魚と鳥とのありさまを見よ

訳:魚と鳥との生活ぶりを見なさい。

 

注意するべき上一段活用動詞

「射る(いる)」は「い、い、いる、いる、いれ、いよ」と活用しますがア行ではなくヤ行上一段活用なので注意!

「居る、率る(ゐる)」はワ行上一段活用で「ゐ、ゐ、ゐる、ゐる、ゐれ、ゐよ」と活用します。

下一段活用

下一段活用の動詞は「蹴る(ける)」の1語だけです。

下一段活用の活用表

このように「あいうえお」のうち下のエ段のみを使うので下一段活用と言います。

例文

未然形
蹴ず

訳:蹴らない。

連用形
尻をたりければ、

訳:尻を蹴ったら、

終止形
さと寄りて一足ずつ蹴る

訳:さっと近寄って一足ずつ蹴る。

連体形
二丈ばかり蹴る人もあり。

訳:6メートルぐらい蹴る人もいる。

已然形
円子川蹴れ

訳:円子川を蹴ると

命令形
この尻蹴よ

訳:この尻を蹴れ。

 

平安コソコソ話

現代では「蹴り落とす」や「蹴り飛ばす」のことを「蹴落とす」「蹴飛ばす」のように言うこともできますよね。

これは「蹴る」が唯一の下一段活用動詞だった名残なのです。

 

以上が語が少なく、暗記する動詞です。

暗記する動詞の活用まとめ
・サ行変格活用「す」「おはす」

・カ行変格活用「来」

・ナ行変格活用「死ぬ」「往ぬ」

・ラ行変格活用「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」

・上一段活用「きみにいゐひ」の6つ

・下一段活用「蹴る」

 

ここからは語が多く、その都度見分ける活用の種類を見ていきます。

その都度見分ける動詞は四段活用、上二段活用、下二段活用の3つです。

それでは1つずつ見ていきましょう。

最後に見分け方も解説します。

動詞の種類の見分け方を見たい方はこちら

四段活用

四段活用の活用表

このように「あいうえお」のうち4つの〈a〉段と〈i〉段〈u〉段と〈e〉段を使うので四段活用と言います。

例文

未然形
近くはえ思はず

訳: 当分は(行こうと)思えない。

連用形
あはれと思ひて、別れにけり

訳:悲しく思って、別れた。

終止形
みやびたる花と我思ふ

訳:風流な花だと私は思う。

連体形
船にも思ふことあれど

訳:船にも思うことがあるが、

已然形
雨もいたく振りはべると思へば、

訳:雨がひどく降るのではと思いましたので、

命令形
子の一矢に定むべしと思へ

訳:この一本の矢で決めようと思え。

注意すべき四段活用動詞
「借る」「足る」「飽く」

「借る」「足る」「飽く」の3つは見分けるときに「借りず」「足りず」「飽きず」と上二段活用と勘違いしがちだが、正しくは「借らず」「足らず」「飽かず」の四段活用動詞なので注意!

上二段活用

上二段活用の活用表

このように「あいうえお」のうち上半分の2つの〈i〉段と〈u〉段を使うので上二段活用と言います。

例文

未然形
人間の大事、この三つには過ぎず

訳:人間にとって大事なことは、この三つ以上にはない(衣食住)。

連用形
宵うち過ぎて、子の時ばかりに、

訳:宵は過ぎて、夜中の十二時頃に、

終止形
開きたる戸の前を過ぐ

訳:開いている戸の前を通り過ぎる。

連体形
過ぐる五月

訳:過ぎ去った五月。

已然形
分別過ぐれば愚に帰る

訳:深く考えすぎるとつまらない考えになる。

命令形
ゆかしからぬことぞ。早く過ぎよ

訳:興味のないことだ、早く通り過ぎなさい。

 

注意すべき上二段活用動詞

「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」の3つは「い、い、ゆ、ゆる、ゆれ、いよ」と活用しますがア行ではなくヤ行上二段活用なので注意!

「恨む」は見分けるときに「恨まず」と四段活用と勘違いしがちだが、正しくは「恨みず」の上二段活用動詞なので注意!

下二段活用

下二段活用の活用表

このように「あいうえお」のうち下半分の2つの〈e〉段と〈u〉段段を使うので下二段活用と言います。

例文

未然形
身を捨てず

訳:命を捨てない。

連用形
金は山に捨て、玉は淵に投ぐべし

訳:金は山に捨て、宝石は谷に投げるのがよい。

終止形
世を捨つ

訳:世間を捨てる(=出家する)。

連体形
かう世を捨つるやうに明かし暮らすほどに、

訳:このように世を捨てる(出家する)ようにして日を送るうちに、

已然形
また世をば捨つれども、

訳:また世間を捨てても、

命令形
その鼓め打ち破って捨てよ

訳:その鼓を打ち破って捨てろ。

 

注意するべき下二段活用動詞
「植う」「飢う」「据う」

「植う」「飢う」「据う」の3つは「ゑ、ゑ、う、うる、うれ、ゑよ」と活用しますがア行ではなくワ行下二段活用なので注意!

 

「見ゆ」「聞こゆ」「覚ゆ」「絶ゆ」「越ゆ」

「見ゆ」「聞こゆ」「覚ゆ」「絶ゆ」「越ゆ」の5つは「え、え、ゆ、ゆる、ゆれ、いよ」と活用しますがア行ではなくヤ行下二段活用なので注意!

動詞の活用の種類の見分け方

四段活用、上二段活用、下二段活用は語の数が多く、その都度見分ける必要があります。

見分け方は簡単です。

 

見分ける動詞に打消しの「ず」が付くように活用してみてください。

画像

このとき「ず」の前の母音が〈a〉音だったら四段活用、〈i〉音だったら上二段活用、〈e〉音だったら下二段活用と分かります。

 

例えば、「歩む」という動詞を見分けてみましょう。

「ず」を付けると「歩まず」ですよね。

このとき「ず」前の母音に注目して下さい。

「歩ず」 「ま」です。〈a〉音ですので四段活用動詞だと分かります。

 

これで、何で見分けられるのかというと「ず」の前の動詞は必ず未然形になると決まっているんです。

ここで、四段、上二段、下二段の活用表を見てみましょう。

未然形は四段は〈a〉音、上二段は〈i〉音、下二段は〈e〉音です。

なので、見分けられるんですね。

可能動詞はない!
この「ず」を付けても見分けづらい動詞があります

例えば、「焼く」は「焼かず」?「焼けず」?

みたいに分かりづらい動詞があります。

ここで見分けるコツとして、古語には可能動詞がないというのがあります。

可能動詞とは「書ける」や「立てる」のように「~できる」みたいなニュアンスのある語のことです。現代では使いますが、古語にはこれがありません。

ですので、「焼かず」?「焼けず」?のような語で迷ったら「焼かず」と判断してください。

まとめ

動詞の活用まとめ
・サ行変格活用「す」「おはす」

・カ行変格活用「来」

・ナ行変格活用「死ぬ」「往ぬ」

・ラ行変格活用「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」

・上一段活用「きみにいゐひ」の6つ

・下一段活用「蹴る」

・その他は、四段、上二段、下二段のどれか

 「ず」を付けて見分ける

・可能動詞は存在しない

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