どうも、あっしーです。
この記事では、古文文法の基礎中の基礎「動詞の活用」について解説します。
活用とは何か、全動詞の9つの活用表、絶対に間違えない見分け方、紛らわしい注意すべき動詞など古文の動詞についてはすべてをまとめました。
また、記事内の動詞の活用表はすべて長押しでスマホに保存できます。学習に利用してください。
目次
動詞の活用とは
ここは中学の国語でも習う所なのでさらっと行きますね。
動詞の活用とは「動詞が使われる場所によって変化すること」です。
例えば「書く」という動詞があります。
ところが「絵を書かない」や「絵が書けたらいい」など文章で使われると「書く」という動詞が「書か」「書け」のように変化してしまいます。
このように動詞は使われる場所によって形を変えるのです。
これを動詞の活用と言います。
活用の形は未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形の6つがあります。
活用形は基本的に動詞の後ろの語によって決まります。
ざっくり言うと後ろの語が動詞だったら連用形、名詞だったら連体形、後ろに何も続かず文が終わっていたら終止形になります。
助動詞や助詞が続いていたらその助動詞、助詞の接続によって決まります。
接続について詳しくはこちら
このように基本的には動詞の後ろの語によって決まりますが、例外として「係り結び」というルールがあります。
係り結びについて詳しくはこちら
動詞の活用の種類
動詞は変化すると言いましたが、しっちゃかめっちゃかに変化するのではなく、たったの9つの型に分類することができます。
サ行変格活用、カ行変格活用、ラ行変格活用、ナ行変格活用、上一段活用、下一段活用、四段活用、上二段活用、下二段活用の9個です。
動詞は必ずこの9個のどれかに分類され、それぞれ同じ変化の仕方をするようになっています。
入試では、「この動詞は何活用?何形?」と聞いてきます。
ですので皆さんはすべての動詞をこの9つの型のどれか分類する必要があるわけです。
動詞の活用の見分け方には暗記するものと、その場で見分けるものがあります。
サ行変格活用、カ行変格活用、ラ行変格活用、ナ行変格活用、上一段活用、下一段活用は語の数が少なく暗記するもの
四段活用、上二段活用、下二段活用は語の数が多く、その場で見分けるものになります。
それぞれの動詞と活用の仕方を見ていきましょう。
「サ行変格活用」「カ行変格活用」「ラ行変格活用」「ナ行変格活用」「上一段活用」「下一段活用」「四段活用」「上二段活用」「下二段活用」
サ行変格活用
サ行変格活用の動詞は「す」「おはす」の2語だけです。
サ行変格活用の活用表
例文
訳:美徳としない。
訳:しているのが良い。
訳:争わないことを美徳とする。
訳:橘の花の香りがする袖。
訳:旅をすると、
訳:生活の手段としろ。
「す」は漢字+「す(ず)」の形で複合語を形成することがあります。
例えば、「感ず」「念ず」「欲す」「旅す」はすべてサ行変格活用です。
漢字+「す(ず)」は基本的にサ行変格活用を疑ってください。
ただ、「混ず」だけは下二段活用ですので注意してください。テストでもよく聞かれます。
カ行変格活用
カ行変格活用の動詞は「来」の1語だけです。
カ行変格活用の活用表
例文
訳:「来ない」といった
訳:例の唐国の船が来た。
訳: 宮中に参上して来る。
訳:出て来る時を待って
訳:春が来たので、
訳:春よ来い。
ラ行変格活用
ラ行変格活用の動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」の4語だけです。
「あり、をり、はべり、いまそかり」はリズムがいいのですぐ覚えられるかと思います
ラ行変格活用の活用表
例文
訳:誰もいない。
訳:昔、男がいた。
訳:月の都の人で父母がいる。
訳:世の中にある習慣。
訳: 西の空に雲があるけれど、
訳:どこであってもよい。
ナ行変格活用
ナ行変格活用の動詞は「死ぬ」「往ぬ(去ぬ)(いぬ)」の2語だけです。
ナ行変格活用の活用表
例文
訳:不老不死の薬
訳:朝に死に、夕方に生まれるという世の定め。
訳:炎に気をを失ってあっという間に死ぬ。
訳:生まれたり死んだりする人
訳:またこのように死ぬのだから、
訳:水におぼれて死ぬのならば死んでしまえ。
上一段活用
上一段活用の動詞は少し多いです。6つあります。
「着る」「見る」「似る(煮る)」「射る(いる)」「居る、率る(ゐる)」「干る(ひる)」
頭文字をとって「きみにいゐひ(君にいい日)」と覚えるといいです。
上一段活用の活用表
このように「あいうえお」のうち上のイ段のみを使うので上一段活用と言います。
例文
訳:夜明けを見ることなく死んだ。
訳:これを見て、親たちも「何事か」とうるさく問う。
訳:春は波のように揺れる藤の花を見る。
訳:(客の帰った)後まで見る人がいるとは、
訳:それを見ると、
訳:魚と鳥との生活ぶりを見なさい。
「射る(いる)」は「い、い、いる、いる、いれ、いよ」と活用しますがア行ではなくヤ行上一段活用なので注意!
「居る、率る(ゐる)」はワ行上一段活用で「ゐ、ゐ、ゐる、ゐる、ゐれ、ゐよ」と活用します。
下一段活用
下一段活用の動詞は「蹴る(ける)」の1語だけです。
下一段活用の活用表
このように「あいうえお」のうち下のエ段のみを使うので下一段活用と言います。
例文
訳:蹴らない。
訳:尻を蹴ったら、
訳:さっと近寄って一足ずつ蹴る。
訳:6メートルぐらい蹴る人もいる。
訳:円子川を蹴ると
訳:この尻を蹴れ。
現代では「蹴り落とす」や「蹴り飛ばす」のことを「蹴落とす」「蹴飛ばす」のように言うこともできますよね。
これは「蹴る」が唯一の下一段活用動詞だった名残なのです。
以上が語が少なく、暗記する動詞です。
・カ行変格活用「来」
・ナ行変格活用「死ぬ」「往ぬ」
・ラ行変格活用「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」
・上一段活用「きみにいゐひ」の6つ
・下一段活用「蹴る」
ここからは語が多く、その都度見分ける活用の種類を見ていきます。
その都度見分ける動詞は四段活用、上二段活用、下二段活用の3つです。
それでは1つずつ見ていきましょう。
最後に見分け方も解説します。
動詞の種類の見分け方を見たい方はこちら
四段活用
四段活用の活用表
このように「あいうえお」のうち4つの〈a〉段と〈i〉段〈u〉段と〈e〉段を使うので四段活用と言います。
例文
訳: 当分は(行こうと)思えない。
訳:悲しく思って、別れた。
訳:風流な花だと私は思う。
訳:船にも思うことがあるが、
訳:雨がひどく降るのではと思いましたので、
訳:この一本の矢で決めようと思え。
「借る」「足る」「飽く」
「借る」「足る」「飽く」の3つは見分けるときに「借りず」「足りず」「飽きず」と上二段活用と勘違いしがちだが、正しくは「借らず」「足らず」「飽かず」の四段活用動詞なので注意!
上二段活用
上二段活用の活用表
このように「あいうえお」のうち上半分の2つの〈i〉段と〈u〉段を使うので上二段活用と言います。
例文
訳:人間にとって大事なことは、この三つ以上にはない(衣食住)。
訳:宵は過ぎて、夜中の十二時頃に、
訳:開いている戸の前を通り過ぎる。
訳:過ぎ去った五月。
訳:深く考えすぎるとつまらない考えになる。
訳:興味のないことだ、早く通り過ぎなさい。
「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」の3つは「い、い、ゆ、ゆる、ゆれ、いよ」と活用しますがア行ではなくヤ行上二段活用なので注意!
「恨む」は見分けるときに「恨まず」と四段活用と勘違いしがちだが、正しくは「恨みず」の上二段活用動詞なので注意!
下二段活用
下二段活用の活用表
このように「あいうえお」のうち下半分の2つの〈e〉段と〈u〉段段を使うので下二段活用と言います。
例文
訳:命を捨てない。
訳:金は山に捨て、宝石は谷に投げるのがよい。
訳:世間を捨てる(=出家する)。
訳:このように世を捨てる(出家する)ようにして日を送るうちに、
訳:また世間を捨てても、
訳:その鼓を打ち破って捨てろ。
「植う」「飢う」「据う」
「植う」「飢う」「据う」の3つは「ゑ、ゑ、う、うる、うれ、ゑよ」と活用しますがア行ではなくワ行下二段活用なので注意!
「見ゆ」「聞こゆ」「覚ゆ」「絶ゆ」「越ゆ」
「見ゆ」「聞こゆ」「覚ゆ」「絶ゆ」「越ゆ」の5つは「え、え、ゆ、ゆる、ゆれ、いよ」と活用しますがア行ではなくヤ行下二段活用なので注意!
動詞の活用の種類の見分け方
四段活用、上二段活用、下二段活用は語の数が多く、その都度見分ける必要があります。
見分け方は簡単です。
見分ける動詞に打消しの「ず」が付くように活用してみてください。
画像
このとき「ず」の前の母音が〈a〉音だったら四段活用、〈i〉音だったら上二段活用、〈e〉音だったら下二段活用と分かります。
例えば、「歩む」という動詞を見分けてみましょう。
「ず」を付けると「歩まず」ですよね。
このとき「ず」前の母音に注目して下さい。
「歩まず」 「ま」です。〈a〉音ですので四段活用動詞だと分かります。
これで、何で見分けられるのかというと「ず」の前の動詞は必ず未然形になると決まっているんです。
ここで、四段、上二段、下二段の活用表を見てみましょう。
未然形は四段は〈a〉音、上二段は〈i〉音、下二段は〈e〉音です。
なので、見分けられるんですね。
この「ず」を付けても見分けづらい動詞があります
例えば、「焼く」は「焼かず」?「焼けず」?
みたいに分かりづらい動詞があります。
ここで見分けるコツとして、古語には可能動詞がないというのがあります。
可能動詞とは「書ける」や「立てる」のように「~できる」みたいなニュアンスのある語のことです。現代では使いますが、古語にはこれがありません。
ですので、「焼かず」?「焼けず」?のような語で迷ったら「焼かず」と判断してください。
まとめ
・カ行変格活用「来」
・ナ行変格活用「死ぬ」「往ぬ」
・ラ行変格活用「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」
・上一段活用「きみにいゐひ」の6つ
・下一段活用「蹴る」
・その他は、四段、上二段、下二段のどれか
「ず」を付けて見分ける
・可能動詞は存在しない
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